日常生活に時代性が落とす影

もちろん、もっとも果たしてゆくべきことは、時代苦を救うということです。しかし、救いは時代性と密接に繋がっております。

たとえば、経済至上主義の波の中で、食べ物が変質しております。これは何層にも私達の生活に暗い影を落としております。まずは健康を害する食べ物が非常に増えております。農産物に残留する農薬や化学肥料が人体に与える影響の大きさは背筋が寒くなる程です。食品添加物をはじめとする化学物質も同様で、私たちは日常的に化学兵器に襲われているような状況です。

また、ファストフ-ドによって本物の味を知らない人が増加しております。これは当然情操にも影響を及ぼします。そしてそれは、各家庭で本物の味を引き出す炊事が減少するという事態を招いております。これは、躾の欠落に通じてしまい、前回の話に関連して脳の発育のバラつきを生んでいるところも見受けられます。

今、懸命にスロ-フ-ド運動が繰り広げられておりますが、まだまだ一部の方々に止まっております。中には、極端な懐古運動を進めている方々もいます。しかし、懐古と本来のあり方とは必ずしも一致は致しません。食というものには、楽しむということがなくてはならないからです。

食材としての本物の味を知り、次に調理に工夫を重ねた伝統を知り、容器の機能美や盛り付けの美しさを知り、それらすべてを楽しみ味わってこそ、真の満足を得ることができるのです。そして、そうした積み重ねが精神的にも肉体的にも糧となるのです。