社会情勢は水晶世界へ移行していることも表わしている
また、年末に日本中を怒りの渦に巻き込んだ「耐震偽装問題」は、日本の産業界の‘負の遺産’の実像を映し出しております。当事物件にお住まいの方は「寒」の極みのような生活だろうと推察し、お見舞い申し上げます。
専門家によると、これらは‘氷山の一角’だそうですので、家屋や構造物の現状も深刻と言わざるを得ません。では何故検査機関が偽装を見抜けなかったか、という疑問ですが、これこそが愚問と言えるのです。「天下り」が背景にあるというのですから、日本の構造的な問題です。
これまで「構造改革」が喧(かまびす)しく論じられてきましたが、本丸は官僚の再教育と「天下り」の全廃です。これを小泉さんができれば、時代に名を残せます。しかし、偽装問題には口が重たいようですので、真の改革は後人が担わねばならないのでしょう。「偽装」を起こす温床にどっぷりと浸かっている政党が政権を担っている訳ですから、難題です。
このようなことをはじめ様々な問題が平成になってから浮き彫りになってきました。バブルがはじけてから今日まで、日本社会に潜んでいた諸問題が白日の下に晒(さら)されてきています。これらの一つひとつは大変深刻な問題ではあるのですが、水晶世界へ移行していることの表われでもあります。だからこそ、先ほどの少子化問題にせよ、本質的なことに目を向けてゆかねばならないのです。みんな繋がっています。
それから、最近三十代の方々と交流しておりますと、大変な労働環境の中で仕事に従事しているということを知らされます。政府は好況へ転じたように説明し、経団連の奥田さんなども‘バブル’というような言葉を用いて経済状況を話していますが、少し違うと思いますね。一部トップ企業は好調のように映っておりますが、下請けなどはとんでもない状況です。
評論家のどなたかが‘年収300万時代’という言い方をしていましたが、正にそんな中に追い込まれている状態です。深夜まで過密な就業に携わるので入眠剤なしでは眠れず、起床したらしたで入眠剤の影響で頭がボ-ッとして今度は合法的な‘覚醒剤’で目を覚まし就業する、という方が増えているそうです。
そういうことを重ねて心身の障害を起こしている方が、大勢いらっしゃるそうです。これが私達が今直面している「時代苦」の実体の一つである、ということです。救済を求めてくる方々の中には、そうした方々が今後増えてゆくと思われます。
先ほどの少子化の問題で、どのような現象が起きているかと申しますと、東北の方では過疎化を通り越して‘集落の崩壊’が起きております。氏神様の社、鎮守様を取り壊さねばならない所も出ているようです。これまで、‘権威の崩壊’や‘安全神話の崩壊’が取り沙汰されてきましたが、ついに‘集落の崩壊’となり、これは大変なことです。
その一方で、‘山里の復興’運動を進めているところもありまして、微かな希望を繋いでくれています。
しかし現状は憂慮すべきことばかりです。子供が外で安全に遊ぶことができづらい環境になりつつある、という先ほどの話と密接に関わっておりますが、特異な犯罪の陰に‘脳の発達障害’があると言われております。心身ともに障害を起こした人々、その家族が「時代苦」の象徴的な姿であり、救済を求めております。