ハワイ日刊新聞「ヘラルド紙」への寄書
今度、貴社々長代理牧野ジョセフ氏が日本へ来られ、世界救世(メシヤ)教の話を本部幹部から聞かれた処、是非教祖たる私に、何か書いて欲しいとの御頼みなので、一文を茲(ここ)にかく事にしたが将来ハワイの土地へも、本教教線が拡がる日の来るのは、大いに期待している処であってみれば、先ず最初の鍬入れとしての意味でかくのである。
本教は、昭和九年(1934年)発足したもので、御承知かも知れないが、当時の日本は、戦争準備として平和思想を嫌い主なる新宗教を弾圧したことがあったが、本教も其(その)捲添えを喰って、一時裏面的宗教運動をするの止むなきに至ったのである。処が終戦後信教の自由となったので、1947年宗教法人として再発足したもので、それが四年前で、それ迄微々たる存在であったが、僅か四年間で前例のない程の急速の発達を遂げ、現在三十万以上の信徒を擁するに到った。それが為始終新聞雑誌にデマをかかれたり、パリサイ人等の執拗な妨害などあったりして、絶えず当局の無理解な弾圧を受けているのである。之も新宗教には昔からの附物で、止むを得ないと言えばいえよう。然し其(その)様な妨害があっても、本教自体は微動だもせず、堅実に発展の一路を辿りつつある。
抑々(そもそも)、本教のモットーとする処は、病貧争絶無の世界、即ち地上天国を造るにあって、彼の基督の予言である“天国は近づけリ”という事も、釈尊の所謂仏滅後ミロクの世が来るという事の両聖者の言は、天国もミロクの世も御自身が造ると言われなかった。然し私は私自身天国を造ると宣言するのである。謂わば右(上記)の二大予言を私によって実現される訳である。斯んな大きなことを言うとしたら、万一実現されない暁、私は大山師か、誇大妄想狂となり世を欺瞞する怪しからん人間として、社会から葬り去られるに違いあるまい。
処が、その可能性を絶対確信している私は今現に着々実行しつつ素晴しい成績否奇蹟を表わしつつある。医学で治らない、医師から死の宣告を受けた病人を、私の弟子が薬も機械も使わずに全治さしている。私の弟子はキリストが顕わしたと同様の奇蹟を、日々各地に於て無数に表わしつつあるのである。以上の如く本教信者になれば病なき人間となり、病気の心配はなくなるばかりか、人の病気も治せる力の持主になる。又結核も伝染病も感染しないばかりか万一感染しても雑作なく治して了う。だから黴菌など全然問題とはならない。故に此(この)事が判ったとしたら、病なき世界の実現は何人と雖も疑い得ないであらう。
従而(したがって)、人間に病がなくなり健康で働けるとしたら、貧乏人など生れる筈(はず)はない。恒産あれば恒心ありの譬えの通り、人の物を盗んだり、人を騙したりするような、サモシイ了見はなくなるに決っている。まして神を信ずるとしたら、何よりも悪人が段々減るのは勿論である。
茲(ここ)で、最も重要なことをかいてみるが、現在全人類の一番悩みとされているのは、病の外には何といっても戦争であろう。御承知の通り今将に第三次大戦が起らんとして、各民族は戦々兢々としている。昔から現在迄、人間の一番恐れているものは戦争であろう。然しそれが何時迄経っても無くならないのみか、文化の発達と相俟って、其(その)規模も益々世界的に大きくなって来た。そうして今迄とても戦争が終るや、その惨禍に懲り懲りした人間は、色々な平和機関を作り、戦争防止に最大限に努力するに拘わらず、事実は逆に平和を破る処の戦争製造者が出てくるという、洵に理屈に合わないのが現実である。
処が、右(上記)の逆理は世界中誰も気が付かないのであるから問題だ。然し私はその根本原因を神から知らされたのである。勿論、到底人智では判りようがないもので、どうしても人智を超越した処の、神智でなくては判りようがないのは勿論である。そうして神とは最高神即ちエホバである。としたら戦争絶滅は敢て難しい事ではなく、絶対可能なのである。私は此(この)様な破天荒な啓示を受けると共に、それを実現し得る力も与えられたのである。全く大いなる時が来たのであって、世界は愈々天国実現の段階となった事は一点の疑いない事実である。といっても私は未だ救世主とは名乗らない。只救世的力の発揮をしつつある現在である。
成程、世界三大聖者としてキリストも、釈迦も、マホメットも、その業績の跡をみれば人類救済に対し、如何に高く評価してもよい程のものである。之によって長年月に渉り、人類の不幸は如何に軽減されたか分らない程である。然しそれは地上天国出現の時迄の、言わば繋ぎ的の救いに外ならない。然るに愈々時到って、人類は永遠に救われ平和の歓喜の世界、所謂地上天国出現となったのである。又世界的文化の大転換とも言える。
之を一層判り易く言えば、真善美完き理想世界が今や呱々の声を挙げんとしているのである。それに就(つい)ては一度は地球上の大掃除が行われなければならない。そうして天国建設となるのである。所謂破壊と創造が如実に行われるのである。此(この)破壊をキリストは世の終りといい、釈尊は仏滅と言われた。此(この)時メシヤ降臨されると曰い、ミロク下生とも曰われた。とすれば右(上記)の如き大破壊が、第三次戦争でなくて何であろう。然し之等の凡べては非常に神秘であって、経綸上未だ軽々に言明する事は出来ないのが遺憾である。
以上、概略記述したが、その奥義を知りたいとしたら、本教の信者となり深く研鑽される事である。それによって世界の将来も予想がつき、大安心を得ると共に、病貧争の悩みも解消し、来るべき地上天国に生き残って、其(その)住人たり得る資格者となるのである。 (1951年1月24日)