御教え集17号 ①人間はすばしこくなくては駄目

人間はすばしこくなくては駄目です。すばしこくといっても、なにも体をすばしこくなくてもいいのです。つまり精神的にすばしこくです。体はおちついていてもいいが、要するに敏感でなくては仕事はできません。ですから私は非常に素早いのです。体も割に素早いですが、仕事とか、物事を見る素早さです。そういうことはある程度修行するとできます。人のしゃべる言葉とか、なにかすることとかを一つか二つ見て、これはこういうことを言っているから必ずこういう了簡があるに違いない、こういうことをするところを見るときっとこういう癖があるに違いない、と見抜くのです。それを早く見ることです。それから人の家に行っても、ちょっと見て、ここの主はこういう趣味を持っている、こういう生活だということを見てとるのですが、これは少し注意して見ればわけはありません。

よく私の所に面接に来る人の、お辞儀の仕方や最初の言い方から見て、これはこういう了簡で来たなと分かるのです。その素早さです。ですから私が京都や奈良に行きましたが、別にたいして時間はかかりません。とても早いのです。他の人はみんなまごついてますが、それで分かるのです。それを眺めて首をひねるようでは本当は役に立たないのです。

人間は一目見てできるだけ見てとれるような稽古をしなくてはなりません。

一つの癖です。そうするとある程度、得がいくのです。これは男に限らず女もそうです。

【御講和篇8 P237】

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