一、真理の具現とは
一、真理の具現とは、天地自然の運行、万象の流転と、一切の生成化育の実相行姿其儘であって、例えて言えば、人は人としての道を行じ、又人は生まれながら其各々の天職使命があり、階級も儼として定って居るのであって、それを知りそれを実行することが、人としての真理の具現であり、それに依って永遠の歓喜と栄とを得、安心立命を得らるゝのである。然るに今日はそれを教え、夫を行ぜしむる力ある宗教がないから、人々は迷蒙に墜り、知らず識らず他の範囲を犯し、軌に外れ道を失い、其極争や混乱を生むのである。是等は独り個人に限らず、社会も階級も国も世界も、悉くそれに漏れないと云う実状である。此時に当って宗教者なる者が、天地の真理を弁えないから、人を教ゆる力もなく感化する徳も無いのである。又是に就いて仏典もバイブルもその他の聖典も、実は真を説き、実を誨えて居ないのであるから、人として知る事が出来ないのも致し方ないのである。何となれば、若し何れかの聖典に真実を説いてあったなら、今日の如き苦悩と混乱との時代は実現しなかった筈であるからである。又真理が全具現されたならば、多数人が今日の如く病に罹り易く、天寿を全うするものが暁の星の如く寥々たる筈がないのである。是等に依って見ても、此一箇条さえ現在の宗教中に有して居るものは無いのである。