科学について

ノ-ベル賞を受賞された御二方の研究は浅学の私でも興味津々です。宇宙の仕組みと人体の相関について果てしなく思考が広がります。宇宙線と太陽風の係わり合い、それが人体に及ぼす影響が絶えず気になっているのですが、強烈な刺激を与えてくれます。また、タンパク質の種類が人体では遺伝子の3倍程あるというようなことは、こうしたことがないと想い出しません。10万種位のタンパク質はどうしてできたのか、とそちらが気になります。

各研究の素晴らしさは言うまでもないのですが、創造主のお計らい、仕組の一端を解明しているという場面が多い訳です。科学全般の進歩によって、創造主の御意図に少しずつ触れていくことができているように思えるのです。その見地が必要です。

そして、今年更に深刻化した‘食’の問題は、実は経済至上主義のもたらす弊害なのです。最近‘スロ-フ-ド’という言葉が脚光を浴びてきていますが、『世界的規模の食の均質化、食文化の喪失への危機感』が根底にあります。

また遺伝子技術は私達の日常に深く入り込んできています。産業社会は技術を通して自然を支配しようと努めてきて、その最先端がクロ-ン作りと言えるでしょうが、人間が自然を支配しようとする試みは過去次々と失敗し、大きな危険も生み出してきました。それらの経験から人間の真の価値観を模索する積み重ねが必要なはずです。

本質的にどこにいるか知らない

ところが、この3つの質問は簡単なようで、真剣に考えていくと中々難しいものです。‘ここはどこですか?’と尋ねられたら、どう答えますか。だいたい住所を言うでしょうね。

しかし、それは本質的に正しいのでしょうか。住所は県から始まりますが、その前に日本です。日本はアジアの中にあります。アジアは地球にあり、地球は太陽系の中にあります。太陽系は銀河系の中にあります。銀河系は宇宙の中にあります。

ところが宇宙はどこにありますか?と問われたら何と答えたらよいでしょう。住所や国というものは、大きな座標軸の中の一定の位置として指定すればよいです。地球も何とか指定できるでしょう。しかし、宇宙はどこにあるのか、ということに対して指定できる座標軸はありません。

ということは、私達は本質的にどこにいるかを知らない、ということになります。

‘いまはいつ?’という問いに対して、平成で答えるか、西暦で答えるかは別として指定することはできます。しかし、平成は15年、西暦という時間軸でも高だか2003年です。それより長い時間の流れがあるわけで、孔子歴では2554年ですし、仏歴では2564年で、皇暦では2663年です。ユダヤ歴では5764年。日本の古い方の暦の稽歴では6063年です。

それよりもっと古い歴史が当然あるわけで、地球は約46億年、宇宙は約150億年。その宇宙の誕生を辿っていくと、最初にビッグバンがあったと考えられています。それ以前は、もしかすると虚無であったかもしれないし、もう一つ別の宇宙があったかもしれません。本質的な‘いつ?’ということを知らない、ということになります。

あなたはだれ?

‘あなたはだれ?’と質問されると、たいがいは名前を答えとします。これも名前がわかっただけで、本質的にはわかったことにはなりませんね。

皆さん方にはご両親がいます。ある日二人のDNAが出会い、遺伝子組み替えが起き皆さんのDNAが生まれました。では二人のDNAはどこから来たのかと言いますと、当然皆さんの祖父母に辿り着きます。次々と辿っていきますと、皆さんの家系のル-ツは日本人の歴史につながり、その先は人類の歴史につながります。

人類の進化を遡っていきますと、生命誌へとつながります。地球上での生命の誕生は約38億年前と言われていますが、それ以前は地球の化学反応ともいうべき歴史です。そして宇宙の歴史へとつながります。現在の皆さんという存在を生むために全宇宙が歴史的に関与していたことになります。

宇宙の一部と言うことができますが、結局本質的には私達は自分がどういう存在なのか、よくわかっていないのです。また自分がどこにいるのかも本質的にはわかっていないし、今がいつなのかもわかっていません。

この無限の空間の中において、悠久の時の流れの中で、本質的には失‘見当識’状態なのです。

先ほど、地球に生命が誕生したのは約38億年前だとお話しましたが、その時代の地球と同様の環境を実験室のガラス容器の中に作って、その時代と同じように強力な雷放電を起こすと、生命の元であるアミノ酸ができるそうです。

そこで様々な仮説が立てられます。地球の表面が固まりかけた頃、多数の隕石が衝突してその中に水分が含まれていたので、水蒸気爆発が繰り返され大気圏がやがて生まれたと考えられます。雨が降り、海もでき、その時代月はもっと地球に近くて潮の干満が強烈でした。それらの要因が重なり合って生命の源が生まれた、ということになっています。

これらは科学の発達でわかってきたことですね。しかし、‘なぜ、生命が誕生したのか’ということには答えはありません。

私達生物個体を細分化していきますと、→臓器→細胞→高分子→分子→原子→原子核→素粒子ということになります。原子を見ますと、原子核と電子があって電子が原子核の周りを回っています。ボ-アの模式図を想い出してみてください。原子構造は1913年に解明されたそうですね。

数年前の資料で面白いことを知りました。例えば水素原子は1つの原子核の周りを1つの電子が回っています。ず-っと回っています。すると、そのエネルギ-はどうなっているのでしょか。‘なぜ動くのか?’という質問に、科学は答えられません。

ただ、電子が回っていると言いましたが、厳密に言うと電子が正確にどこにいるかはわからないそうです。それは電子のような素粒子の世界では、時間と場所を同時に確定することができないという法則が働いているそうです。仮に何時何分何秒と時間を決め、その時点で電子がどこにいるかを探そうとしても、その場所はわからない。また場所を決めて、その位置に来るのはいつかを知ろうとしても、わからないそうです。

エネルギ-は連続する量ではなく不連続な値しか取らない、という考えである量子論的考え方につながっているのでしょう。この考え方から、ミクロなものはあるときは波の如く、またあるときは粒子(量子)の如くに振舞うことが推測され、これを波動と粒子の‘二重性’と呼んでいるそうです。

この理論的、実験的な推測が、様々なところに応用されています。卑近な例としては水があります。身体に良い水とそうでない水ではHとOのくっつく角度に微妙な差があることがわかり、角度を調整すれば良い水になるという考え方です。

本質的な解答

このように科学の発展によって、色々な現象の説明が理論的にも実験的にも裏付けられています。また、宇宙の起源についてもわかりつつあります。しかし先ほどからくどいようにお話していますように、本質的なところになりますと答えが出ないのです。ビッグバンについても‘いかにして’ビッグバンが起こったかは解明されましたが、‘なぜ’起こったかは十分わかっていません。科学では‘なぜか’という本質的なところではわからないのです。

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