『何もしないことが最高の医療』という研究結論を発表
これに関連して7月17日・24日合併号の「週刊現代」に「長生きしたければ病院に行くな」というタイトルの記事が掲載されました。これは先月の「メシヤ講座・三重(平成22年8月分)」の内容と関連するのですが、「人間ドックが『二次がん』を引き起こし肺がん検診を受けると寿命が短くなる」と警告しています。
誌上で、医療統計学などの専門家で、新潟大学医学部教授(予防医学)の岡田正彦氏は次のように述べています。
「じつはがん検診の効果を真っ向から否定するデータが存在するのです。結論から言えば、がん検診などの検査を定期的に受けても寿命は延びません。それどころか、寿命を縮めるという結果すら出ているのです」
「普通に考えれば、きちんと検査を受けてきたグループのほうが、そうでないグループより肺がんになる割合も、死亡率も少なくなるはずです。ところが、結果は逆でした。検査を受けていたグループのほうが多く肺がんになり、より多くそれで死亡していたのです。
それだけではありません。この調査では、あらゆる死亡原因に関するデータが集められていましたが、肺がん以外の病気で死亡した人も、検診を受けてきたグループのほうが明らかに増えていました。つまり、“肺がん検診を受けると寿命が短くなる”という結果になったのです」
岡田氏の研究テーマは「病気を予防するために真に必要なことは何かを考えている。研究が進むにつれ、過剰な医療でむしろ健康を害している人の多いことがわかってきた。結論は『何もしないことが最高の医療』ということになりそうだ。」ということだ、と発表しています。
また、誌上では「欧米には人間ドックという考え方そのものががない。目的もなくただ漠然と検査を行ってもコストがかかるばかりで無意味、という意識がその根底にあるからだ。」とも指摘しています。
このことについて誌上では、還暦を境に健康診断や人間ドック、血液検査全てを止めたという拓殖大学学長の渡辺利夫氏は、自らの体験から次のように述べています。
「一種の確認恐怖症になっているんですね。検査で数字を確認しないと気が済まなくなっている。しかも、健康を確認したくて検査を受けていながら、その一方で異常値がないと逆に落ち着かないという矛盾も同時に孕(はら)んでいるのです。こんな心理は人間ドックを受けなければ生まれません」
時代の精神を色濃く表現している発言です。高齢になればなるほど、検査で体力を奪われてしまうことは周知の通りです。重く受け止めねばならない内容ですが、このこと自体、御教えに早くから出会った者の使命は“大なるもの”であることを雄弁に物語っています。